交際費における税務調査及び税制改正での注意事項

◇使途不明金には、高額な税金が発生!
 税務調査において注目される科目のひとつが交際費です。
 その理由は、交際費は税務上経費にならない金額があること、役員の私的な費用や、使途のよくわからない費用が計
上されていることが比較的多い、ということなどが挙げられます。
 役員の私的費用の場合には、そもそも会社の経費としての計上は認められず、役員賞与として否認され、源泉所得税
の課税対象にもなってきます。使途不明金の場合には、その費用は税務上、経費として認められないだけではなく、さ
らにその支出額に対し40%の税率で「使途秘匿金課税※」が追加で行われます。
 ※金銭の支出のうち、相当の理由がなく相手方の氏名等を帳簿書類に記載していない支出に対して40%に相当する
額を通常の法人税の額に加算する。
 特別な資料を用意しておく必要はないですが、交際費についても他の経費と同じく、何のために支払った費用か、相
手先はどこの誰かなどについては、説明できるように、書類を残しておくことが大変重要です。


◇1人当たり10,000円以下の社外飲食費特例
 交際費については、令和6年度税制改正において大きな改正が行われました。社外関係者との飲食その他これに類す
る行為のために支出する交際費で、参加者1人当たり10,000円以下の費用については、交際費に含めなくてもよ
いこととなったのです。
 しかし、この特例には適用を受けるために、次の項目を記載した書類を残しておく必要があります。
 ○その飲食等に参加した得意先等の氏名又は名称及びその関係
 ○その飲食等に参加した者の数など
 最も簡単な記載方法は、レシートか領収証に、参加者の氏名及び当社との関係、人数等を書き込んで、そのまま残し
ておくことになります。特例の適用を受けている場合は、今後の税務調査で必ず書類の保存状況が確認されることにな
ると思いますので、この上記の書き込みを習慣付けるようにして下さい。
 もし、書類を保存していなかった場合には、通常の交際費として課税対象になってしまいます。


◇交際費と周辺費用の関係
 また、交際費はその周辺費用(会議費、広告宣伝費、売上割戻、情報提供料ほか)との区別が難しい費用です。
決算に当たっては、交際費にすべきかどうかの判断は慎重に行い、もし交際費でなく、通常の経費として処理する場
合には、調査官にその根拠をしっかり示せるよう、書類を準備しておくようにして下さい。
 ※中小企業については年間800万円まで損金算入を認める交際費課税の特例がありますのでご留意ください。

埼玉県商工会 ウリマガ 2024年6月号より

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