定額減税:所得税改正の新たな一歩

 日本の税制は、経済状況や社会のニーズに合わせて定期的に改正されます。
 その中で、令和6年度税制改正により、所得税の特別控除として「定額減税」が導入されました。2024年6月から実施されるこの施策が業務に与える影響について考えてみましょう。

◇定額減税とは何か?
 定額減税は、所得税の特別控除の一つであり、従来の所得に応じた控除とは異なり、あらかじめ定められた金額が一律に適用されます。これにより、所得が低い人々にも税負担の軽減が行われることになります。定額による所得税額の特別控除は、次の金額の合計となります。ただし、合計額がその人の所得税額を超えた場合は、控除される金額がその所得税額の限度となります。
① 本人(居住者に限ります。)            30,000円
② 同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります。) 30,000円

◇定額減税の事務のあらまし
 給与所得者に対する定額減税は、扶養控除等申告書を提出している給与所得者(甲欄適用者)に対して、給与支払
者の下で、その給与などを支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除する方法で行われます。
① 2024年6月1日以降支払う給与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務。
② 年末調整の際に年末調整時点の定額減税の残額に基づき精算を行う事務。
の二つの事務を行うこととなります。

メリットと今後の課題
 定額減税の導入には、いくつかのメリットがあります。まずは所得の低い方への支援がより効果的に行われるとい
う点です。一方で、事務作業の複雑化や所得に応じた控除よりも税控除の平等性が低いという指摘もあります。
 また、制度の運用に関する課題や予算の配分についての懸念等、必ずしもメリットだけの制度ではありません。

納税者への影響及び結論
 定額減税の導入により、期待されるのは納税者の税負担が軽減されることです。特に所得が低い人々や困難な状況
にある世帯にとっては、生活の負担が軽減されるでしょう。これにより消費の促進や経済活動の活性化も期待されま
す。令和6年度の税制改正による定額減税は、日本の税制における新たな一歩です。所得に応じた控除とは異なる施
策で、より広範な層に対する支援が行われます。一方で、課題や懸念も存在しますが、定額減税は、税制改正の中での重要な施策の一つであり、今後の納税者や経済へのポジティブな影響が期待されます。

埼玉県商工会 ウリマガ2024年 4月号より

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